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その代わり、SS用意したから許してね。
以下のSSに登場する春香担当Pに具体的なモデルはいません。
個人的な独断で最大公約数的な春香担当Pを描きました。
春香誕生日記念SS
「ある日のライブ ~春香担当Pとの対話」
ライブ会場。満員の客席に向かって笑顔を振りまきながら熱唱するステージ上の天海春香。舞台の袖でそれを見守るのは、彼女の担当Pとオレだ。彼はオレの先輩Pに当たる。
「今日も春香の明るい笑顔が満員の客席を魅了している。
あの子の誕生日にこんな素晴らしいステージを披露できて感無量だよ」
先輩は今にも涙ぐみそうだ。
「大げさッスよ先輩。春香は元々人気アイドルじゃないッスか」
ちゃかし気味に言うオレに、先輩は肩をすくめてみせた。
「わかってないね、君ぃ。もしかしてアレ? ニコマス黎明期の春香の立場を知らない?」
「いえ、Pデビューはやや遅めッスけど、それ以前は見る専として見てきてますので。
ただ、アケ時代は人気上位だったと聞いたことがありますもんで」
「なるほど。でもね、ニコマスじゃその定説が通用しない時期もあったんだよ。
今はもう昔話だけど、ニコマス最初期の春香に対する無理解は悲しかったね」
先輩はため息をついた。ステージ上の元気な春香と対照的で思わず笑いそうになった。
「わかります。春香を没個性だとのたまってた人たちは、春香のどこを見てたんでしょうね? 1度でも春香をプロデュースしたことがあれば、没個性なんて言葉は出てこないはずなんスけど」
「高木社長の『普通の子』発言が一人歩きしちゃったのかな? 文句の1つでも言っとけばよかった」
「・・・あはは。確かにアレはひどかったッスよねー・・・」
オレは愛想笑いで取り繕う以外なかった。先輩は続ける。
「さて、僕ら春香担当Pはニコマスにおける春香人気を向上つーか復権させるべく色々あがいてみた。それらの試みのうち、女王様路線が何故か好評を得て、やがて『閣下』と呼ばれるようになって、それを崇拝する『愚民』まで誕生した事は、ほーせー君も知ってるよね」
閣下・・・春香を没個性だとのたまってた人たちを沈黙させると同時に、本来のキャラと違う属性を付与するという、功罪両面併せ持つ派生キャラの事だ。オレは答えた。
「閣下ッスか。はい、オレもその功罪ぐらいは知ってるつもりッス。
古くはWhoPの『機動戦艦765』やrumbaPの『スプラッターハルカ』、そして最近ならわかまんペアの『覇道』といった動画を見て、色々考えさせられました。
でも、ののワさんと同じく、閣下も本来の春香ありきで派生したネタキャラなんスよね。そこら辺を割り切って楽しむ分には問題ないんじゃないッスか?」
オレが言い終わると、先輩はいきなり手を握ってきて激しく上下にシェイクした。
「ほーせー君! わかってるね! うんうん、君は心の友だ! 僕ァうれしいよ!」
「・・・な、何スかいきなり? びっくりした~」
「そうだよ。春香は本来明るくて前向きで色々な側面を持った女の子なんだよ。
証拠なら思いっきり目の前にあるぞ! ほら、ご覧よ!」
先輩が指差す方向を見ると、レッスンで磨いてきた歌、ダンス、そして愛嬌豊かな仕草で詰め掛けたファンを魅了する春香の姿があった。
彼女本来のキャラをそのまま披露する姿にはある種のオーラさえ感じた。
あまりの神々しさに身震いさえした。
見かねた先輩が声をかけてきた。
「ちょっと、あの、ほーせー君?」
「・・・そうッスね、先輩。オレ、今日のライブを見学させてもらって学びました。
自分が担当すると決めたアイドルを輝かせるためには努力と情熱が必要なんだと」
先輩の顔が硬直する。だが今のオレにはそれ以上に重要な使命があった。
「先輩、失礼します。うおおおおおおおおおおお! 待ってろよ伊織いいいいいいいいいい! オレはお前を必ずトップアイドルに導いてやるからなあああああああああ!」
叫びながらダッシュで会場を後にするオレであった。
・・・なんちゃって、実は演技でしたw
オレは会場から程近い場所に潜伏し、ライブ終了の時を待った。
やがて先輩と春香の2人がこの場にやってきた。オレは不謹慎ながらやや離れた場所から傍耳を立てる。
どこか疲れ気味な春香に対して先輩が切り出す。
「春香、ライブお疲れ様。会場が満員になるのは当たり前のようになってきたけど、ファンの皆さんへの感謝は絶対忘れちゃいけないよ」
「やだ、プロデューサーさん、今更そんな事。ファンの皆さんの支えあればこそ、
今の私があるんですから。・・・でも、私を支えてるのは・・・えーと、その・・・」
春香の顔が赤らむ様子は遠目からでも補足できた。
春香は精一杯の勇気を振り絞ろうとしているようだ。
「ぷ・・・プロデューサーさんの・・・お、おかげです」
春香の発言を受けて、先輩は一瞬硬直した後すぐに格好をつけなおした。
「何言ってるんだ。春香自身が頑張ってきたからだよ。
『天は自ら助くる者を助く』ってことわざの通りにね」
先輩のちょっとキザな言葉を聞いて、春香は目を輝かせている。
「・・・プロデューサーさん、カッコいいです・・・」
「春香こそ可愛いよ」
満面の笑顔で歯を光らせる先輩。2828。
「ちょーっと! 何2828してんのよ、プロデューサー!」
罵声とともにオレの頬がツネられている。無理やり振り向くとそこには見慣れた女の子の顔。
「い、伊織! なんでここに? 中学生がこんな時間にうろついてちゃダメだろ・・・」
現場を見られたオレは弱気にならざるを得ない。
「べ、別に春香の担当さんみたいな対応してもらいたいわけじゃないんだからね、フン!」
いつも通りの伊織でホッとした。こうなればオレのターンだ。
「ヘェー、伊織は春香がうらやましいのかな~?」
「あり得ないわよバーカ! ・・・この鈍感・・・」
そうそう、これこれ。これぞ伊織担当Pの醍醐味!
・・・以上、脱線終わり。
春香担当Pの皆さん、これからも明るくて前向きで色々な側面を持った春香の個性を引き出す動画を期待しています。
そして・・・
春香、誕生日おめでとう!